甲虫たちは間違える ? the out of control/ホロウ・シカエルボク
考える、爪を立てられた場所から血が流れ始めているのが判る、そいつはあとから登ってくる連中たちの摩擦を奪い、スリップしたやつらは先に登っていたものたちを巻添えにしながら落ちていく、俺の視界は急に広がり、周囲は風通しがよくなる、だが、それも一瞬の出来事に過ぎない、滑り落ちたものたちは悔しがってでもいるようにガチガチとモンキーレンチのような歯を当てて鳴らし、もう一度俺の皮膚に爪を突立てる、今度は滑らないように、しっかりと、深くまで…俺はどういうわけか悲鳴をあげる気にならず―痛みはさっきのと比較にならないぐらいの激しさだが―歯を食いしばってじっとしている、虫たちはさらにゆっくりと、一度ごとに体重をかけてそ
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