真昼のプラネタリウム/ホロウ・シカエルボク
 
ければ指先も動かせないほど
俺は人間に汚染されてはいないからだ


コンクリートの床に這い蹲って
爪で引っかき続けているみたいな音楽が流れ続けている
いつのものか判らない希望を歌ううたよりも
目の前の闇をもいで投げつけてくるようなものが好きだ
安定の中でのほほんと空を見つめているようなうたよりも
血走った目でギョロギョロと辺りを見回しては
意味もなく笑い出したり暴れだしたり泣き出したりするようなうたが
赤ん坊は天使じゃない
母親はみんなそのことを知ってる


静寂は矢継ぎ早に
俺の魂をつけ狙う
鼓膜をこじ開けて特別な植物の種を植える
そいつは俺の内なる声を増幅し
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