黒犬/opus
の近くの森に住んでいた
犬は物心ついた時から一人だった
犬は空腹を満たすためだけに生きてきた
空腹だけが彼の認識する全てだったし
それを満たすためにのみ全てを捧げていた
しかし、
続ける事でそこには価値観が生まれる
自然と求める物は肉となり
それも新鮮なものへの執着へと変わっていった
すると、
「空腹を満たすこと」では無く
「より美味い肉を」となる
しかし、
犬はもう森のあらかたを食い尽くしてしまった
ほとんど全てに価値は付けられてしまった
犬はもの足りなさを感じていた
犬は次第に空腹を感じなくなっていた
ふと、遠くに薄明るく光る何かが見えた
そこに
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