黒犬/opus
こにあの女がいた
仄かに光るその姿は一瞬犬をたじろがせた
彼女から受ける印象はこれまでの全てと全く違ったものだった
「何だあれは?」
次の瞬間に思ったのは
「喰おう」
それのみで
駆け出し、
追いつこうとしたその時、
女は木の影に入り、
そのまま消えた
その後、
女は毎夜現れ、
追いかけては、
木の影へと消えた
その姿を追い求め
辿り着いたのが
その家だった
昨晩、女が木板のドアを開け
家に入るのを見定めたのだ
犬は夜を待つことにした
夜、女が出て来た瞬間に
女を喰らうことを決めた
涎が垂れた
涎と共に
寂しさが込み上げた
し
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