山林の詩/山人
の汗と暑さが体を引きずり、どこか知らないところまで連れて行ってくれた。
俺たちのつけた風の名、それはまだそこにいた。
一匹の幼虫が静かに尺をとる。
すべて思考はまだ閉ざされて、残された山林に、風とともに漂っていた。
「山林の昼休憩」
圧縮された飯粒の上に焼き魚が乗り
それを掘削するように口中に放り込む
鯖の脂がいっとき舌をやわらかくするが
噛み締めるのは苦味だけだった
頭蓋の内壁にはからからと空き缶が転がり
虫に食われた枯葉がひらひらと舞っている
硬い金属臭のする胃壁に落ちてゆく飯粒
咀嚼しなければならない咀嚼しなければならないと
私の中の誰かが呟
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