山林の詩/山人
流し込んでやる
打ちのめされた糞のような現実を叩き切る刃も研いでやろう
たまには涼風も体を脇を通ってゆく
「夏」
開かずの扉があるという。日照が熱い、暗いもがきと汗が内臓から湧き出し、無造作に衣服を濡らす。すでに自らが獣となって草を刈り分け、怒涛の進撃を続けている。名もない歌がふと流れる、何の歌だ?知る由もない、歌などどこからやってきたのだ。風は佇んでいて何も動いていない。見ず知らずの感情が脳内に浮遊し、まるで荒唐無稽の羽をつけながら舞っている。
古代から開けることのなかったかのような陰鬱としたその暗闇を少しづつ抉じ開ける。ふと照らされた光に暴露された青の暗闇は、現実にさらさ
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