愚愛の詩/ただのみきや
地は
与えられていなかった
わたしはすでに自他共に認める
駄目な父親になっていた
わたしたちは出口を探して
歪んだミラーハウスを彷徨い続けた
辿り着いた出口は
ジェットコースターへとつながっていた
激しく生活は揺さぶられ
急上昇急降下を繰り返し
圧迫され押し潰され
飛ばされそうになり
ようやく停止した時
わたしは変わることを要求された
人間そうそう変わらないのは重々承知の上で
わたしにできることは
喋らないこと
おまえが自分の気持ちを言葉にするまで
待つこと そして
どんな苦さ怒り怨嗟も否定しないで
聞くこと それだけだった
それすら十分だった訳ではない
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