愚愛の詩/ただのみきや
たが
積み重ねて来た人生を遡り焼いて往くのを見た
水をかけて消し止めても
見えない所でそれは燻り続け視界は奪われ
たましいは酸欠で激しく喘いだ
誰か悪者が入り込んでおまえを誘惑した
そう思いたかった
だけどわたし以上に
良くも悪くも影響できる場所には
まだ誰も入り込んではいなかった
わたしがそうしていた
おまえは反抗の仕方も知らないままで
自分を遠くへ逃がそうとした
何処へ?
そう考える余裕すらなく
ただ父親との心の軋轢から
自らを救い出そうとしたのだ
わたしたちの間に
多くの人々が立ち入った
それをわたしは望まなかったが
すでに選択の余地は
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