愚愛の詩/ただのみきや
 
に押し付けた
わたしは自らを罪人と名のりながら
おまえには神の子であることを要求していた


中学生になったおまえのことが
幼稚園に入った時と同じように心配だった
成長期の親に対する反抗を
反社会的行為と同一視して芽を摘もうとした
わたしは自分自身の経験から
反抗的若者の良き理解者であると自負していた
疑うことはなかった


見方を変えれば心もやわらかな機械だ
無理な圧力を加え続ければやがて何かしら不調をきたす
それは起こるべくして起こった
家族という血と愛憎で結ばれた閉鎖社会で
小出しにできなかったものが一挙に破裂した日
――それは小さな火種にすぎなかったが
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