しろうからKへの公開書簡 #04/しろう
なく、絵の具を練り合わせて作る色彩を動物か何かの体毛でできた筆に染み込ませてキャンパス地のキャンパスに向かって撫で付けたいという渇望こそが今この瞬間だ。それは何故かというと、こないだ絵を描くための道具をみんな捨ててしまったからなんだ。
子供の頃ね、とても不思議だったのさ。たとえば夏真っ盛りに大人と子供で海でもいいけどどちらかと言わなくても山のほうが好きかなへキャンプに出掛けたら山の向こうに太陽が宵の明星とシケこんでしまってから花火でもするとしようか。子供はここで最高潮に盛り上がってて大人はちょっと疲れているという精神的状況は肉体的状況においては逆相関のグラフを描いているということを加算して相殺す
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