春に吹く風/吉岡ペペロ
のゴミ袋を持っていた理由を思い出そうとしていた。
京香を家の近くで降ろしてから、ぼくはドッグフードを分けるのを忘れていたことに気がついた。
捨てといてくれていいから、とメールを打つと同時に、きょうはありがとうな、楽しかった、とハートマーク付きのメールが届いた。
信号待ちをしていると助手席でケータイが点滅していた。
こんど持ってくから、レオくんにも会いたいな、返信は打たなかった。
空はすっかり濃い群青色になっていた。
控訴しても七三で負けるだろうとのことだった。
うつ病になったとき出勤日や就業時間まで減らしてやってたのに訴えてくる男が気持ち悪かった。
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