春に吹く風/吉岡ペペロ
ら着せた。
「ドラえもんみたい」
雲が灰色がかってきた。
「いこか」
京香もうなずいてぼくらは車に戻ることにした。
なんで青のゴミ袋を持ってたんだっけ?
そう思ったのは空の色がそんな色になっていたからだ。
「楽しかったあ、また連れて来てな」
「こんなに鳥になれたん初めて?」
「うん、ありがとうな、好き」
ぼくの物悲しさはかわらなかった。
弁護士から電話がかかるまえから物悲しかったような気がした。
京香が入れてとせがんできたときぼくはゴムをつけようとした。
怒ったような困ったような顔をした京香がぼくを離さなかった。
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