あを。あを。あを。/竹森
 
水の張られた風呂桶を鳴らした。新しい蓋が)
毎晩積み上げられていく
(のなら、)
あの森の湖にも落ちた
(携帯電話を投げ捨てた日、)
宝石の値札を取り換える音がした方を向く
指先が乾いた血の蔦を、十二月を真似て垂らすと
(一本の火炎瓶で、)
あの森が燃えたふりをして、あを。
(ようやく森が炎に包まれて。)
あを。あを。
(何度目かの夜が明けてから辿るといい。)
(黒い水のおもてから、)
ようやくお前が咲いたね
(と。)

梢が 葉ずれの
眼の無い星の 見る森が
体毛の 濡れしょぼった
「さむいね」が
「さみしいね」の 膨れあがった
ひたいの 青白く 腫れあ
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