あを。あを。あを。/竹森
れあがった
黒い葉かげを 突き出た骨に 貼り付ける
朝露に 野良犬の 死肉から 突き出た
十二月の梢に 貼り付く 黒い体毛の
奥深くへと 逃れていく 体温を
「さざめく」と
「さざめく」と
幾重にも
幾重にも
串刺せば
黒い森が まず さきにとだえて
死肉が じきに いきをふきかえして
笑う頬に
骨が突き出て
貼り付く
濡れしょぼった
髪の毛に
「またかよ」と
「またかよ」と
(―――笑う。ながめているのはぼくではなくなり笑う。はつこいのかずをかぞえて笑う。くろいみずのおもてからようやくおまえがさいたねと笑う。蔦なくて笑う。管らなくて笑う。さむくて笑う。さみしくて笑う。さざめいて笑う。またかよと笑う。あを。あを。あを。蔦なくて笑う。管らなくて笑う―――)
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