曇りガラス。/梓ゆい
 
すれ違う時、片方の目は開かない。
かけたい言葉/話したいという欲求を抱えたまま
最後の最後で死に別れる。

(何処かで、会えます様に。)
会いたい・・・・。会いたい・・・・。と思うのは
魂だけが答えを知っていた。

まだ顔と名前を知らない頃
手にした物が同じだったと信じていたい。

好きな本/好きな音楽/好きな食べ物/好きな場所
駅のターミナル/横断歩道が見えない交差点/都心へと続く田んぼの中の線路

すれ違う確率・可能性は低くても
繋がりあいを持ちたいと無心に祈る。

「お父さん。お父さん。人の心と実態はバラバラで、信じていい物が解かりません。」
崩れ行く物の
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