あしたのりんご/たま
「ね、なにがいい? かあさんの好きなお汁粉もあるわよ」
「……あたしはミルクチィーでいい」
どことなく不機嫌そうだったけど仕方ないかも。お店には彼ひとりしかいない。バイトのひとは帰ったみたいだ。
「ねぇ、あのひとかい?」
「うん、そうよ」
「でも、圭子、あのひともう禿げてるよ。いいのかい?」
「うん、いいの」
私はもう生娘じゃないのに。なんだかおかしくて涙が出そうだった。
「お待たせしました」
アッサムの紅茶と白い小皿にのったアップルパイがテーブルに並んだ。母は紅茶を啜っただけでアップルパイには手をつけなかった。
「ね、かあさん。食べてあげて。これね、彼がつくったアッ
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