いい加減にしろ。/岩下こずえ
まっくらな夜。いよいよ、みんながおかしくなる時間になる。ひとり、またひとりと、おかしな言動をとめられなくなる。私は、みすぼらしいバーのソファでささやく。「あゆみをとめて、じっと太陽をにらんだ。するどい日差しが眼球をとおって、脳を突き刺して、私はまっしろになった。」まっしろになって、目の前のひとに左手をのばして、目隠しする。「まっくらだわ。」そして、目の前のシャツの小さくてまるい首もとへ右手をのばして、差し込む。もういちど、まっしろになる。
「そこで私は、こうつぶやくのです。」
どうすれば、本気で生きられるのだろう?
「そうすると、目の前のひとは、しんとおし黙るんです。たぶん、感動して
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