いい加減にしろ。/岩下こずえ
 
しているんだと思うんです。」
 ・・・そんなことはない。

 おかしくなる時間がすぎる。ひとり、またひとりと、この店からでてゆく。かるいとびらをひらくと、そこにはまっしろな朝があって、ふつうの時間がはじまっている。通勤者たちは、あゆみをとめず、職場にむかっている。私はまっくらになってしまう。都営バスが、夜と私をいっしょにかき消すように、ブシューッと音をたてながら、去ってゆく。もういちど、まっくろになる。

「そこで私は、こう叫ぶのです。」
 いったいどうすれば、本気で生きられるんだ! どうしたらいい!
「そうすると、目の前のひとは、怪訝そうな顔をするんです。なにを馬鹿なことを、とでも
[次のページ]
戻る   Point(1)