四番目の息/宣井龍人
彼は決して微笑んではいない。
微笑むという本来の感情自体を持っていない。
微笑むということに、何の意味も持ち合わせていないのだ。
耐え難い時間が流れ続けた。
おぞましい小人は、手に小さな斧を握っていた。
私を十分に観察した彼は、次の行動に移ろうとしていた。
微かに震える斧が、無表情な彼の目で緑色に染まっていく。
次の瞬間、冷たく乱反射する斧が、高々と頭上に差し上げられた。
彼の目的は明確だ。
私は恐怖のあまり、布団の奥深く潜り込み目を瞑った。
今にも振り下ろされる斧の恐怖に震えて。
高鳴る心臓の鼓動は、布団を海のように波立たせた。
それから、どれほどの時間が経
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