四番目の息/宣井龍人
からかって、祖母の真似をしているのだろう。
私は思わず聞き耳を立てた。
その時だった。
生きている証に寝息だけを立てる父母。
父の寝息。
母の寝息。
眠れない私の息。
そして。
「はぁあはぁあ……。」
かすかな荒い息が聞こえる。
誰だ、この部屋に、あと誰がいるのだ。
私は必死に父母を起こした。
だが、彼らは魔法にかかったかのように眠りこけている。
他には誰もいない、この世界に生きているのは私だけだ。
息の聞こえる方向にあるのは、家族の思い出が詰まっている桐のタンス。
ところが、桐の木目から、徐々に何かが浮き出ようとしている。
全てを射抜くような緑色の
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