歩いても歩いても終わらない/ホロウ・シカエルボク
 
根はずっと同じところに見えたままだった、なのでおれはすぐに諦めた、こんなことをしていても意味がない、移動出来ないのなら足を動かしていても…そもそもなぜおれはこんなところを歩いているのだろうか?おれは床に腰を下ろしてすこし考えてみようと思った、だが、座ったはずの身体は同じところにたたずんでいて、視界はまったく変化しなかった、わかったよ、とおれは思って、動くことも座ることも諦めた、そして、窓の方に向いて中庭をながめた、時刻は午後に入ったばかりだろうか?空には薄く雲が張ってあるらしく、間接照明のような明るさで世界は照らされていた、まるで、目覚めてすぐに目にする世界みたいだった、鳥や、虫の姿は見えなかった
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