歩いても歩いても終わらない/ホロウ・シカエルボク
 
、だって、はるか遠くと言ったところで、向かうべき場所はずっと目に見えているのだし、移動しているにしては涸れた噴水の上の羽根はずっと目の横に見えている、おれはもしかしたら歩いていないのではあるまいかと足もとを見やってみると案の定同じところでずっと足踏みをしているに過ぎなかった、いったん足を止めてどうしてこんなことになっているんだ、と考える、もしか、おかしなまじないにでもかけられたのではあるまいか、おれはここから移動出来ないような仕掛けの中に組み込まれているのかと―そう考えたら無性に怖ろしくなり駆け出した、が、やはり結果は同じことで―向かうべき場所との距離はいっこうに変わらなかったし、噴水の上の羽根は
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