黒艶姫/クロヱ
 

俺は少しだけこの女に興味がわいて 思い切り近づき女の後ろに生える裸の木に止まった。

「おい」
俺はわざとらしく気に止まり よく観察をした後に右側を掻いて声を出した。
女は微動だにもせず靡いていた。

「おい、お前では無理だ」
俺は言ってやった。本当のことを。
女は欝な目を投げかけ こちらを向いた。

「お前には無理だと言っているのだ」
何故か 俺は少しだけ苛立っていた。
女は俺から振り返り 少しだけ前に進んだ。まるで俺から離れるかのように。

「分からないか
 お前にはないのだ お前らにはないのだ
 どうしてそれが分からん」
俺はもう 苛立ちを持っていた。腕
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