黒艶姫/クロヱ
俺は少しだけこの女に興味がわいて 思い切り近づき女の後ろに生える裸の木に止まった。
「おい」
俺はわざとらしく気に止まり よく観察をした後に右側を掻いて声を出した。
女は微動だにもせず靡いていた。
「おい、お前では無理だ」
俺は言ってやった。本当のことを。
女は欝な目を投げかけ こちらを向いた。
「お前には無理だと言っているのだ」
何故か 俺は少しだけ苛立っていた。
女は俺から振り返り 少しだけ前に進んだ。まるで俺から離れるかのように。
「分からないか
お前にはないのだ お前らにはないのだ
どうしてそれが分からん」
俺はもう 苛立ちを持っていた。腕
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)