ミーナ/ホロウ・シカエルボク
っとすすり泣いていた、彼女は娘を失ってから二週間後に痩せ細って死んだ
三人居たはずの家に男はひとりになり、強烈な孤独が始まった、妻の葬儀のあと男の顔からは表情がなくなり、誰の言葉にも返事を返さなくなった、男はあまり眠らなくなった、一日のうちでたった一度の食事を夕刻に取って、それからずっと窓際のソファーに腰を下ろして、ライフルを磨いていた、時には分解して、綺麗に掃除をした、どうしてそんなことをしているのか判らなかった、でも、それをしてるとなにも考えないですんだ、哀しみも、怒りももうそこにはなかった、あるのは永遠に続くような喪失感だけだった、俺はどうして生きているんだろう、と男は考えた、俺を
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