ミーナ/ホロウ・シカエルボク
 
た、そのときケンの顔に奇妙な影がよぎったのを男は見た、「初めてみたいなもんですね」と男は言った、「四、五年前に一度来たことがあるのですが、そのときはあまり時間がなくて…」男は数度頷いて、静かに聞いた、「そのときは、仕事か何かで来たのかね?」ケンの顔は少し色をなくした、そして、ええまあ、とだけ言ってカップを掴んで、飲んだ―もう口を開けないために、そうしたように見えた、「疲れただろう、ここで待っていてくれ、君の寝床を用意してくるよ」男はそう言って二階へと上がった、ミーナの部屋を使うつもりだった、「すみません、ありがとう」階下でケンがそう言うのが聞こえた


男に部屋に案内されたケンは、壁にかけて
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