ミーナ/ホロウ・シカエルボク
けてあるオーバーオールと、その胸のポケットのところについてあるカンバッヂを見て真っ青になったが、男は気づかないふりをした、ここは娘の部屋でね、と男は何気ない調子で言った、「ベッドは少し小さいが、状態はいい…あまり使われることがなかったからね」ぐっすり眠れるだろう、という男の言葉に、ケンは青ざめながら頷いた、すぐにでも眠るといいよ、と男は微笑みながら言って、ケンの肩をぽんぽんと叩いた、ケンは声もなくこくこくと頷くばかりだった
夜明け近く、男はライフルを手にミーナの部屋に向かった、ケンが気づかないことは判っていた、飲物には妻が最後に使っていた睡眠薬が残っていたから―ケンがそうであることを、男
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