いくつもの視線、捨てられた詩篇、真夜中のキッチンの音のないモノローグ/ホロウ・シカエルボク
 

真夜中のキッチン
片隅での爆発
夜のリズムと眠りのリズムが
燃えていく
燃えていく
燃えていく
火が燃える理由を教えてくれ
閉ざされたこの空間で
指の先で生まれるこの火の理由のことを


黒く煤けたバスルームの炭化した人形
古いアニメーションのキャラクターだったもの
夢は炭に
夢は炭に
見る影もなくなって
そいつを愛した子供たちと
そいつを買い与えた親たちの運命と共に
二度と取り返せない幸福のことを
排水溝に癒着した眼球で夢見ている


こころは身体よりはやく先に終ることがあり
きみは過保護なタンパク源だ
おれは針のない釣り糸で
あいつは焼け
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