いくつもの視線、捨てられた詩篇、真夜中のキッチンの音のないモノローグ/ホロウ・シカエルボク
 
焼け焦げた人形だ
それはまるで歩く廃墟のようだ
今日は午前中は雨で午後は晴れていた
天気に左右される心情の人間はきっと
こんな天気なんてなければいいのに
いやいっそこころなんてなければいいのにと
そう
考えたことだろう
そういう人間のうちのあるものは
すごく高級なタワーマンションの一室で
毎日なにをするでもなく窓の外を見ていたりする
そこからの眺めは格別だって話だよ
でも
そいつは




なにも見ちゃいないんだ








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