いくつもの視線、捨てられた詩篇、真夜中のキッチンの音のないモノローグ/ホロウ・シカエルボク
 
ションは
マジでホーンテッドだって新聞配達をしてた友達が言ってた
生きてるやつより死んでるやつの数が多いって
配達を始めてから終わるまで少しも気が抜けないって
あんなところに住んでたら持ってかれるかもしれないって
あれはもう五年くらい前に聞いた話だったっけ
出来た当時は満杯だったあのマンション
いまじゃ巨大な建物の半分くらいは空き物件で
わざわざ違う街からやってきて飛び降りる連中がエントランスで列を作ってるってさ
死んだあとも


レバーを落として
それだけでともるガスコンロの火を
ただつけたり消したり繰り返す
小さな爆発と燃焼が
始まっては終り
始まっては終る
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