いくつもの視線、捨てられた詩篇、真夜中のキッチンの音のないモノローグ/ホロウ・シカエルボク
 

口先だけで生きていけるなんて
子供のように信じることなど出来ない
換気扇を止めて
煙の中に消えていけたらいいのに

おれは餌のない糸をヘドロの河に垂らして
そうして生きているからには決して手に入れられないものを釣ろうとする
耳にさしたカナルフォンの中では
インダストリアル・ロックが流れている


虫を食べ過ぎて死んだ幼い娘の亡骸を抱いた母親は
ひどいことを言った姑を殺したばかりで
悲しみの極限でずっと笑っていた
娘が最後に食べたものの
脚がいくつか転がっている
そんな夜に限って
昼のように明るく
すべてのものは照らされるのだ


廃れた繁華街の終わりでは
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