13/きるぷ
 
日曜日の街は凪いだ海のように静かだった

わたしは子連れの夫婦や
恋人たちや老人の集団が
誰も彼も一様に楽しげであることや
そのような人々の賑々しさの中にいるにもかかわらず
これほど自分だけが静かな気持ちであることを
不思議に思った

薄暗い部屋の窓から
よく晴れた庭を眺めているとき
やわらかい風が吹いて
樹木が揺れる、

するとそれに応じて
蜘蛛の巣のような樹影も揺れて
かさかさと葉の擦れる音だけが
いつまでも耳に残っている

そんな感覚を薄く引きずりながら
待ち合わせの場所に向かうためにわたしは歩いていた


昨日は攫われる夢を見た
夜、眠ろうと
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