大崎のキンコーズの思い出/番田
夜、冬の寒い道の中へ自転車を急いで走らせていた。大崎にたどり着いたときに見た近未来的な光。私はそこまで行くときは出力した紙をスーパーのビニール袋を持って行って運んでいた。ある日、私は四畳半ほどしかない部屋の外から、ラップの大きな声がしているのをなんとなく聞いた。隣の、同棲している若いカップルの部屋からだった。この狭い部屋の中で、どうやって二人で暮らすのだろうということを、いつも疑問に思っていた。そんなふうに、私は昔、ある会社を辞めた後、とても貧乏だった時期があった。所持金はその会社にいるときにすべて使い果たしていたが、逃げるようにして辞めてきたので、月々の家賃もまさに払えないかもしれないという危険
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