ヘイヴン/ホロウ・シカエルボク
時のからくりのからみ合う中―
隣町の火事で死んだ五歳の少女の亡霊が
市場のほうで噂になっていた
あるものは拝み屋を呼ぶべきだと
あるものは放っておいてやるべきだと
誰にも正しいことは判らなかった
牧師様
手を差し伸べるべきでしょうか
放っておいて上げるべきでしょうか
神は
神が授ける真実はいつだって選択肢でしかないものだ
母親たちだけで
祈りのために行われる踊り
父親の居ない場所で
兄の
弟たちの存在しない場所で…
子宮がもしも神聖なものであるなら
わざわざそんな風に踊ることはないのに
犯されて孕んだ少女が
自らの喉を掻き切る前時代的な風習の終
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