ヘイヴン/ホロウ・シカエルボク
 







異能の血液たちが
沸騰をはじめて
正常な皮質がひび割れる
構成する様々な体液たちが
色を変えながら
肌を染めながら―


グラスウール敷き詰めた壁の中
行くあてをなくした歌声の屍骸
羽虫のようにバラバラで
塵のようにあっけなかった
いつかはなにもなかったことになる
人の身体よりもずっと早く


一世紀も生き続けた鏡の
致命的な翳りを責めるのはよして
くすんだ像を精一杯の努力で
あなただと認めればいい


ヘイヴン
来るものたちと去っていくものたちの
足音が交わる場所
ヘイヴン
それでも爪先は誰ひとり迷うことなく
時の
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