失われた醤油を求めて ? たもつさんの詩の印象 1 ?/佐々宝砂
詩で、語り手以外のすべての存在が失われてしまう。しかしそこまで何もかもが失われる詩は例外で、たいていの場合、失われるものはさほど重要なものでも大きなものでもない。
>テーブルの上に何かを忘れてきてしまった
>いったい何を忘れてきたのだろう
>
>それは大きなもの
>ではなかった
>かといって小さなもの
>でもなかった
(たもつさんの詩「忘れ物」より)
「海は巨大な忘れ物である」と寺山は書いたが、ここに描かれている忘れ物は、もっと曖昧でほのかな何かだ。確かに、何かが失われてしまっているのだが、それが何であるかは明らかにされない。作者
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