失われた醤油を求めて ? たもつさんの詩の印象 1 ?/佐々宝砂
 
作者にもわかっていない、というよりは、そのものがなんであるか本当に明らかにしてしまったが最後、そのものは今度こそ決定的に失われてしまうのではないかという畏れがあるのではないか。だからこそ、「本当の名前」ははるか遠くに霞み、『「 」に言葉を入れてみろ』の「 」に入れられるべき言葉は確定しないのではないか。

その何かが存在しなくとも、人は生きていられる。ネギが存在しなくとも、生きていられるように。そして、何かが失われることよりも、失われてなお生きてゆけることに気づく方が悲しい。悲しいが、ひとはそれでもやっぱり生きてかなきゃならないのである。てなわけでまだ続く。
戻る   Point(7)