相馬野馬追〜その瞳をみていたら〜より/黒木アン
其処にいるなら
一張羅を着て
蹄が巻き上げる
粉塵の中で
荒武者駿馬の
躍り上げるさまに
食い入る横顔
相馬野馬追にと
不動の山から響く
幼少のたいくつが
太鼓の拍子
心この胸つきあげて
何気のない日々
鮮やか溢れ
その甲冑を揺らす
合戦の山場には
生に
滅ぼすものない
弔い
受継の伝統
人と馬
忘れ難きを
共にして
四足の鞍に
想いあらたに
復興へと
戦は死を
しかし
最大の尊
……命
助けたい人もいただろうに
涙をのんで討ちとった
戦国武将がかかげた旗に
流れた時は
剣も矢もすて
鎧も脱ぎすてたのに
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