術後/草野大悟2
膜腫摘出部よりエコーで脳内の状況を調べる。しかし、そこに明らかな出血などは認められない。村中の心に、初めてオペに対する不安がよぎった。
もしかして左側で出血? ……。
そう考えた村中は、オペ開始後二時間十五分、左前頭部を開頭した。
左硬膜下に薄青く出血が存在する。
硬膜を切開し、出血を吸引して出血源を確認すると、左橋静脈の破綻が認められた。この急性硬膜下血腫が脳膨張の原因であることに間違いない。
緊急に出血を止める必要がある。
脳の耐性時間は一般的には約三時間といわれている。それを過ぎれば脳機能は破壊され、患者は死に至る。
急がなければ患者が死んでしまう。
施術部位
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