術後/草野大悟2
 
にもありません。ただ、オペはうまくいっても、後に重度の障害が残る患者をもう二度と出したくないだけです」
 きっぱりとそう答えた。
「それはそれはご立派なことで……」
 倉田は、皮肉たっぷりに言った。
 なにかに憑かれたように休みも取らず仕事をする村中に、沙織は、
「あなた、仕事に全力で取り組むのはいいんだけど、体壊したら元も子もないからね」と
心配そうに顔を覗き込みながら言った。
「大丈夫。僕は学生時代ラグビーで鍛えてるから、心配しなくていいよ。ありがとう沙織」
「それはそうだけど、最近のあなたを見てると、何ていうか、急ぎすぎっていうか、功を焦ってるっていうか、そんな感じがして」
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