術後/草野大悟2
の指導、教授・准教授の講義教材の準備、論文や学会発表用パワーポイントの作成など忙しい毎日が続いた。
もう二度と重い障害が残るようなオペをすることは許されない。何かに追い詰められたような緊張感が、村中に重くのしかかっていた。
いつまでも陽子のオペを引きずっているわけにはいかない。村中は、オペ技術のより一層の向上、ほかの研究機関などの論文の読み込みに全力で取り組み、学会発表も以前にも増して積極的に行うようになった。
倉田に頼み込んで、難しいオペの執刀医も買って出た。
「村中君、君、最近えらく張り切っているようだけど、何企んでるんだい?」
真顔で訊ねる倉田に
「企んでることなど何にも
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