術後/草野大悟2
んどの場合、原告側敗訴の判決がでているためだった。
渡辺は、しばらく考えた後
「分かりました。私ももう一度だけ頑張ってみましょう」
そう返事した。
後日、渡辺は、一縷の望みをもって医療事故調査会から紹介された関西大学脳神経外科の東田教授を訪ねた。
東田教授は、
「村中助教による頭部髄膜腫の開頭腫瘍摘出術に注意義務違反は認められない」
と、葛西教授と同一の見解を示した。
渡辺は、二人の医師が『注意義務違反なし』との判断を下した以上、本件調停申立は撤回するしかない、そう判断した。
太郎は、どうしても諦めきれなかった。
二人の教授以外の脳神経外科専門医により、過失あり
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