術後/草野大悟2
 
あり、との見解を得る必要がある。そうしないことには、和解申立で勝つことはできない。
 ネットで検索をかけ続けた。そして、やっとのことで、医療過誤に対する専門医の見解を提供する東京の弁護士事務所を見つけ出した。 
 十万円の手数料を振り込み、申し込んだ。
 その弁護士事務所の女性事務員から、資料があれば送付するように電話で指示され、手術記録、看護サマリー、MRI等の画像フィルム等手持ち資料全てを郵送した。
 太郎は、この弁護事務所が示す見解に最後の望みをかけていた。
 第三回調停日の三日前、回答書が届いた。 そこには、二人の大学教授が指摘した内容と大差のない事由を論拠として、『本件手術に注
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