術後/草野大悟2
、民事訴訟に持ち込むことも諦めざるを得ません」
そう渡辺に頼んだ。葛西教授の見解にはとても納得できない、という切実な気持ちが込められていた。
渡辺は、本件の弁護依頼を受けた際、相手方が和解申立を拒否した場合は民事訴訟に持ち込むことを視野に入れていた。
しかし、コンサルトに応じた複数の医師が、村中のオペについて、注意義務違反なし、と判断した場合は、和解申立を取り下げ、民事訴訟もおこさないとの方針を立てて、太郎もそれを了承していた。
過去の医療過誤民事裁判において、証明力のある疎明資料や、被告側が行ったオペに注意義務違反が存在したことを証言する証人を原告側が呈示できない場合は、ほとんど
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