術後/草野大悟2
 
下血腫が生じた原因については、髄膜腫の全摘により、圧迫が減圧されたとき偏位が戻り、橋静脈が破綻を来して血腫が生じた可能性が考えられます。しかし橋静脈は一般的に、術中の損傷が稀有な箇所であり、また、対側でもあることから、執刀医の手技の巧拙により生じたものとは考えられません。さらに、手術下での脳膨張の原因を、直ちに橋静脈損傷によるものと判断するのはすこぶる困難です。
 脳膨張の可能性について、本件手術における左硬膜下血腫の発生頻度が非常に低いことからすれば、まず、髄膜腫摘出手術を実施し、かつ超音波検査が直ちに可能であった右半球を探索したことは適切な対応であったと言えます。
 術中の脳の腫れが反対側
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