術後/草野大悟2
 
対側の原因によることは同側によるものの可能性よりも低く、右半球の異常が認められないことを確認したうえで、左半球の異常を確認するため、左前頭開頭術を選択したことは、適切かつ勇気ある選択であったと思われます。
 左前頭部開頭までの時間も、脳外科手術の一般的基準からして早いことはあっても遅いとは言えないし、左硬膜下血腫確認後の対応も疑問と思える点はありません」
 渡辺は、葛西教授の説明要旨を後日文書にすることにして、まず電話で太郎に伝えた。
「そうですか、過失なしということですか」
 明らかに気落ちしたと分かる声が受話器から聞こえた。
 しかし、気を取り直すかのように、
「他の医者にも見解を
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