術後/草野大悟2
れそうな医者に片っ端から電話をかけた。
「なんで僕がそんなことに関与しなきゃならないんだ!」
けんもほろろに、電話を切った医者もいた。
諦めかけていたころ、一本の電話があった。
中野教授からだった。
大学時代の同級生で、脳神経外科の教授をしている葛西という男が、話してもいい、と言っているとのことだった。
「先生、ありがとうございます。ほんとになんとお礼を申し上げたらいいか……」
渡辺は、受話器を持ったまま何回も頭を下げた。
三月二十八日。渡辺は京都に飛んでいた。帝都大学脳神経外科葛西教授のコンサルトを受けるため、陽子の手術記録・看護サマリー及び画像等一切を持参して。
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