術後/草野大悟2
午後二時から第三回目の調停を行う旨の通知があった。 調停までの期間が長く空いていることが、川上の言を裏付けている、村中は、そう確信してほくそ笑んだ。
渡辺は、村中が行った手術についての見解を求めるため、過去の裁判で原告側証人として世話になった、清陵大学脳神経外科中野教授に電話を入れた。しかし、「僕は今研究で忙しくて、申し訳ないが君の意に添うことはできない。心当たりに連絡を取ってはみるがね」と、やんわり断られた。
過去の判例や資料も調べ直してみたが、他の症例に比べ、髄膜腫手術関係のものはそう多くはなかった。
渡辺は、専門医で、ある程度の権威があり、かつ手術についての見解を示してくれそ
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