術後/草野大悟2
って太郎と渡辺を見た。
「ありません」渡辺が応えた。
「それでは、次回調停までに、申立人は相手方主張に対する反論と論証を用意して下さい。いつ頃までに可能ですか?」
裁判官の問いかけに、渡辺は、しばらく躊躇した後、「少なくとも四ヶ月位の猶予を頂きたいと思います」と応じた。
「それでは、申立人と相手方とのスケジュール調整をして、裁判所で第三回調停の期日を決定するということでよろしいですね」
「はい、そのようにお願いします」
両弁護士が同時に返事をした。
村中は、自分が行った手術についての見解を、渡辺が誰に求めるのかが気にかかっていた。が、誰であれ、脳神経外科を専門としている医者で
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