術後/草野大悟2
 
術、エコーなどによる右半球の脳出血の検索を行い、左の開頭、血腫除去を行っています。血腫除去が終了した時刻は、十一時四十五分であり、わずか三十分のうちに対処しているのです。従って、申立人代理人指摘の注意義務違反は存在し得ません」
 村中を始め、複数の他大学病院脳神経外科教授たちとの十分な事前検討によって導き出されていた結論を、川上は自信たっぷりに裁判官に訴えた。
 また、術後、陽子に残った障害については、左の脳圧が上昇し、脳幹部を右にシフトさせた結果、テントの端で右中脳が損傷を受けるといういわゆるカノーハン切痕が生じたため、と結論づけた。
「申立人の意見はありますか」
 裁判官は、そう言って
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