術後/草野大悟2
を下げた。
太郎は、無表情で名刺を受け取り、渡辺とともに帰って行った。
その様子を眺めていた村中は、「頭なんか下げるなよ、みっともない」不機嫌な顔になって心の中で毒づいた。
十二月二十六日、第二回調停。
川上は、村中の注意義務違反に関し、全てを否定して反論し、損害賠償支払いを拒否した。
「通常は、右前頭部の髄膜腫による合併症においては、まず、同側に何か起こったことを疑います。
村中助教は、手術時に、術中エコーなどで右大脳半球の異常を検出できないかと考え、第一にエコー検査を施行しました。しかし、右の病変を描出できなかったため、左の前頭開頭を行って、急性硬膜下血腫を発見でき
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